健康診断で血圧が高いと指摘され、「忙しいので、次の健診でまた見ます」となっていないでしょうか。企業のフォローでは、結果通知を送るだけでなく、本人が医療機関で評価を受けるところまでつなげることが課題になります。

家庭血圧は、記録して医療につなげてこそ使える
2018年のTASMINH4試験では、血圧管理が不十分な高血圧患者1,182人を、家庭で自己測定する群395人、自己測定に遠隔送信を加える群393人、通常診療群394人に割り付けました。医師は家庭血圧の情報を使って降圧薬を調整しました。12か月時点の主要解析には1,003人が含まれています。[1]
収縮期血圧の調整済み群間差は、通常診療に比べて自己測定群で−3.5mmHg(95%信頼区間−5.8〜−1.2)、遠隔送信群で−4.7mmHg(−7.0〜−2.4)でした。これは「測っただけで下がった」という試験ではありません。測定結果に基づく医師の薬剤調整を含む介入です。[1]
2025年公表の更新メタ解析でも、家庭血圧に基づく降圧治療と診察室血圧に基づく治療を比べた14件のRCTが検討されています。国内のJSH2025も家庭血圧の評価を扱っています。健診の一つの値だけで治療方針を決めず、家庭での記録と診察を組み合わせる視点が必要です。[2][3]
企業が担当するのは、診断ではなくフォローの仕組み
結果通知では、どの項目について、どこへ相談するかを具体的に示します。受診を勧めた人については、受診できたか、まだなら何が障壁かを確認します。受診のための時間が取れないのであれば、勤務上の調整を検討します。
本人は健診結果に加え、医療者に案内された方法で記録した家庭血圧や服薬状況を持参すると、受診時に状況を伝えやすくなります。家庭血圧が低かったからといって、自分で薬を減らしたり受診を取りやめたりしないでください。
産業医は、健診結果と仕事内容、勤務状況を踏まえて就業上の対応を検討します。診療での血圧管理と、会社での受診支援・勤務配慮をつなぐことが大切です。担当者の記録も「通知済み」「受診確認済み」「継続確認が必要」など、次の対応が分かる形にします。
症状があるときは、次の健診を待たない
血圧が著しく高く、胸痛、呼吸困難、麻痺、言葉が出ないなどの症状がある場合は、通常の健診後フォローを待たず救急対応が必要です。日本では119へ連絡してください。症状がなくても、健診で受診を指示された場合は案内に沿って受診してください。[4]
関連する視点は、健康施策を増やしても、職場の負荷が減らないときでも取り上げています。
健診後の受診勧奨、受診確認、就業上の対応を一つの運用として整えたい企業へ。 産業医・産業保健サービスをご覧ください。体制づくりについてはお問い合わせからご相談いただけます。
参考文献
- McManus RJ, et al. Efficacy of self-monitored blood pressure, with or without telemonitoring, for titration of antihypertensive medication (TASMINH4). Lancet. 2018;391:949–959.
- Maruhashi T, et al. Updated meta-analysis for antihypertensive treatment guided by home blood pressure compared to treatment based on office blood pressure. Hypertension Research. 2025;48:1839–1845.
- The Japanese Society of Hypertension Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension 2025 (JSH2025).
- American Heart Association. When To Call 911 About High Blood Pressure.



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