
導入
主治医から「復職可能」と診断書が出た。では、翌日から休業前と同じ勤務に戻せるでしょうか。復職の判断では、医学的な回復だけでなく、実際の業務内容・勤務時間・通勤・職場の負荷をすり合わせる必要があります。
本文
復職を「出勤できる/できない」の二択にすると、本人が働き始めてから不調が再燃したり、職場が必要な調整を見落としたりする可能性があります。確認したいのは、現在の症状と治療状況、生活リズム、通勤を含む体力、担当業務の負荷、避けるべき業務、再評価の時期です。主治医は診療上の回復を評価し、会社は業務上の条件を提示し、産業医は両者の情報を踏まえて就業上の意見を示します。復職可否を主治医の診断書だけに委ねるのでも、会社が病名だけで決めるのでもなく、役割を分けて連携します。
復職後は、短時間勤務、業務量の段階的な調整、残業・出張・夜勤の一時的な制限、相談窓口の明確化などを検討できます。これは一律に行う処方箋ではありません。本人の状態と職務に応じて、期間と見直し日を決めます。調整を始めるだけで終わらせず、本人・上司・人事・産業保健スタッフが、勤務状況と体調を定期的に確認します。
エビデンス
Brämbergらの2024年系統的レビューは、軽度〜中等度のうつ病、不安症、適応障害、強いストレス反応で休業した18〜64歳を対象とする8件のRCT(11報、計2,902人)を統合しました。仕事に焦点を当てた認知行動療法とチーム支援は、標準ケアまたは介入なしと比べ、復職率の増加または復職の早期化につながる可能性が示されました。ただし、確実性は低いと評価されています。研究は北欧とオランダの試験で、対象・制度が日本と異なります。復職支援を特定の方法で行えば必ず成功する、という結果ではありません。
企業・従業員への実践
会社は復職前に、①業務内容と負荷、②勤務時間・通勤・夜勤等、③避ける業務と可能な配慮、④連絡・相談先、⑤見直し日を整理しておきます。本人には、症状の変化を早めに相談できる経路を伝えます。強い不眠、希死念慮、自傷の危険、急激な悪化がある場合は、復職調整より医療機関への早急な相談を優先します。
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参考文献
Brämberg E, et al. Effects of work-directed interventions on return-to-work in people on sick-leave for common mental disorders—a systematic review. Int Arch Occup Environ Health. 2024;97(6):597–619. doi:10.1007/s00420-024-02068-w. PMID:38710801.
WHO. Guidelines on mental health at work. 2022. https://www.who.int/publications/i/item/9789240053052
荒木 琢登/一般社団法人Tactical Med



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