
導入
筋トレが腸内環境を整える、と聞くことがあります。しかし「腸内細菌の多様性が上がる」「便秘が治る」「腸疾患を予防できる」といった主張は、研究ごとに評価項目が異なり、短絡的には結びつけられません。
本文
2025年に報告されたRCTは、座位中心の健康な成人を対象に、8週間の筋力トレーニングと待機対照を比較しました。腸管バリアに関連する血中指標や気分状態などを評価しています。短期間の運動介入により、筋力や気分、腸管透過性に関連する一部の指標に変化が報告されましたが、気分や筋力の改善が腸管バリア指標の変化と結びついていたわけではありません。この研究は「筋トレで腸の病気が改善する」ことを示した臨床試験ではありません。
エビデンス
完遂者20人(筋トレ群11人、待機対照群9人)の小規模RCTです。対象は健康な成人で、慢性消化器疾患の患者を対象にしたものではありません。追跡は8週間で、対照群も待機リストでした。サンプルが小さいため、性別ごとの差や長期的な便通・疾患発症を評価する力は限られます。したがって、腸症状の治療目的として筋トレを処方する根拠にはまだなりません。
企業・従業員への実践
健康上の制限がなければ、従業員が続けやすい筋力トレーニングや日常活動を選ぶことは、全身の健康づくりの一部として検討できます。筋トレを腸症状の治療の代わりにせず、腹痛・下痢・便秘が続く場合は症状を評価し、必要なら受診につなげます。運動施策は参加を強制せず、勤務時間・施設・費用などの障壁を下げる形が現実的です。
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参考文献
Dow C, et al. Eight weeks of resistance exercise improves mood state and intestinal permeability in healthy adults: A randomized controlled trial. Physiological Reports. 2025;13(3):e70219. doi:10.14814/phy2.70219. PMID:39924706.
荒木 琢登/一般社団法人Tactical Med



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